紺碧の果てを見よ
図書館で借りて読みました。
海軍士官の青年から見た太平洋戦争の話。
この話は構成がすごくいいなと思いました。
(っていうとすごく偉そうですが)
本編は時系列順に描かれていくのですが、章の合間に入る主人公の妹からの手紙は時系列と逆に配置されているんですよね。
だから序盤は妹からの手紙を読んでも「ふーん」という感じで読み流していくんですが、登場人物たちが過酷な運命に晒される様子を読んだ後に戻って手紙を読むと、心にずっしり来ます。
あとはもちろん時系列と逆に妹の手紙が入るので、本編で起きたショッキングな出来事を再度妹からの手紙でなぞって気持ちが沈んでしまう……。
ただ、あまり納得いっていないのが主人公と妹の関係。
主人公が妹の身が心配だったからとはいえ妹の進みたい道をつぶす場面があり、なんだかすごくもやもやした気持ちになってしまいました。
妹の方は兄の一番の理解者で居続ける一方で兄の方は全く(は言い過ぎにしても)妹の内面を理解していないように思えてしまったんですよね。
そういうすれ違いも現実ではよくある事なんだと思いますが……。
あとは主人公が軍人なので怪我の描写が多いです。
そういう場面が苦手な方は注意してください。
でも本当に上で説明したような構成とか、キャラクターの内面の描写が細やかで引き込まれる物語でした。
生き残った登場人物たちには幸せな余生を送って欲しいです。
(難しいかもしれませんが……)